冥王星について

2時間ほど前ですが、冥王星が太陽系惑星の定義から外されました。
占星術では、天体は人間の意識のバリエーションと考えます。
これまでも、新惑星が発見されるたびに、人類に新しい意識が芽生え、それが社会現象として表面化している事柄になぞらえて新惑星の意味が推測されてきました。同じように、一つの惑星を「惑星」という定義の中から人類が外そうと決議したことには、大きな意識改革が潜在的に起こっているという意味にほかならないでしょう。

人は、自分が意識しないことは認知しないですから、興味のないものは見逃しますし、関心が高まっているものに関しては、やたらとひんぱんに目にするようになる。単純な人は、「オレが凝りだしたら最近ちまたで流行りだしたな。」などと言うのはそのためです。強く意識するから何度も琴線にひっかかる。逆に、知らないものはみることができないのです。

冥王星はこれまで冥界の番人として、人類が抱く死のイメージを総括してきた天体です。漆黒の闇、子宮(肉体的な子宮は月ですが、陰の空洞としての宇宙的子宮です)、まゆ、核、ハードディスク、などなど。海王星は集合意識とか無意識をつかさどりますから、人が死んで固体としての自我が集合意識に交じり合ったのちに、漆黒の闇や子宮が広がっていたのがこれまでの死のイメージだったとしたら、もう人類はそういうイメージを意識の重要な位置に収めることをやめようとしているのかもしれません。
もっと具体的なところでは、核が脅威ではなく、戦争の抑止力とはならなくなるときが近づいているのかもしれません。

もちろん、冥王星が惑星から外されたからといって、消滅したわけではないので、これまでどおり漆黒のイメージは人の中に生き続けるのですが、それが絶対的な意識のうちの一つの状態としての役割を降りたということです。わたしは、小惑星はおろか、人工衛星ですら影響が無いとは考えないスタンスを占星術家としてとってきましたし、これからもマクロコスモスとしての宇宙に存在するチリの一つ一つがミクロコスモスである人や鉱物にも連動していると考えています。逆に、人類が抱いたいかに小さな想念もが、大宇宙を揺るがすエナジーを秘めているとも考えています。ですから、わたしが重要視するのは、それを人類がどのように認識し、定義づけるかのほうです。

宇宙はかくも孤独なものです。
自分以外の絶対的な存在が、一方的にこうしなさい、と教え導いてくれるわけではないのです。

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OBEの研究で有名なロバート・モンロー氏によると、幽体離脱時の意識の状態には、様々な層があり、それらを仮にフォーカスレベルと呼ぶ。たとえば、フォーカス10は、身体が完全にリラックスした状態で、意識はまだある眠りと覚醒の狭間にある状態を指す。もう少し層を深めると、海王星が支配する、夢中、あるいは、アルコール依存、薬物依存者、分裂病、ボケ老人などの意識に関連性の強い場所が、フォーカス21として控えている。フォーカス21の少し手前の、フォーカス15には漆黒があり、無音無感覚にありながら、子宮の中にいるような静寂と安心に包まれる場所があり、これが冥王星のイメージにぴったりなのだ。

実は、わたしのように現在30代の人間にとっては、冥王星の軌道は海王星よりも太陽の近地点を経過していた1979年7月〜1999年12月の記憶のほうがあたらしい。冥王星の軌道は不安定な楕円なので、ときに海王星よりも内側を通過し、その間は約20年にもおよんだわけだ。

わたしが最初にフォーカスレベルの概念に触れたときに、冥王星の軌道に思い当たるふしがあり調べたのが上記の事実。冥海の軌道に深く納得したと同時に、冥王星に意識レベルとしては、大きすぎる役割が与えられているのでは? というアンバランス感を抱いたことが思い出される。

フォーカス15は、東洋哲学の「無」の概念は先人たちが修行や瞑想によって到達した意識レベルに近いものであるからして、重要であることは間違いない。しかし、先人たちは「無」の境地に留まっていたわけではない。曼荼羅図をみればわかるように、意識の層は何層にもわかれており、いっけん同じものが繰り返し描かれているようでありながら様々なレベルの違いが見受けられる。

これらの理由からも、冥王星が最終地点として、控えるにはあまりにも西洋的な冥界のイメージが強調されすぎていたのだ。そもそも、冥王星昇格の推移からして、NASAのプロパガンダが深く関与しており、その死と破滅のイメージは、アメリカがごり押ししたようなきらいがある。

今回、冥王星がリストラされると同時に、2003UB313や、ほかの小惑星が脚光を浴びている。意識レベルの中の無の境地だけを終末イメージにすることをやめ、ほかのフォーカスレベルも同等の重みで人類の意識に認知されつつあると考えていいのではないだろうか。


2006年8月25日 3:25:25